プレ「脱力」2: 「脱力」の考え方
こんにちは、リトピです。
ピアノ界における「脱力」とは何か?については、前回の記事「プレ「脱力」: 「脱力」って何ぞや?」でご説明しました。簡単にまとめると、【文字通り「力を抜く」と考えるのはダメ】ということでした。
しかし、実際に先生や書籍・ブログ等で「脱力しなさい!」と言われた場合、その言葉はどのように解釈すれば良いのでしょうか?当記事で、その点について一緒に考えてみましょう。
「脱力しなさい!」は無責任な言葉
ピアノを弾いているとき、腕・身体等に「余計・余分な力」が入ってしまうことは多々あります。その部位が疲れたり、筋肉痛になったりした場合、そんな厄介な「余計・余分な力」を取り除きたい、つまり、その部位を「脱力させなきゃ!」と強く思うでしょう。そして、その気持ちが、先生や書籍・ブログ等で「脱力しなさい!」という言葉で現れるのでしょう。
でも、その考え通りに「脱力」(力を抜くこと)を実行して良いのでしょうか?「脱力」するだけで、本当に「余計・余分な力」を取り除けるのでしょうか?
よーく考えてください。実はアナタは…ピアノ以外の状況であれば、とある部位が疲れたり、筋肉痛になったりした場合、その部位を「脱力させなきゃ!」と強く思うことは絶対にありません!その例を次で見てみましょう。
例: 足が疲れた場合
電車に乗っているとき、立ちっぱなしだと、少しずつ足が疲れてきますよね?このときアナタは次の2つのどちらを考えるでしょうか?
- あっ、足を「脱力」させなきゃ!周りの状況なんて関係ない、とにかくその力を抜こう!!
- 前に座っている人、次の駅で降りないかな?早く椅子に座りたい!
ここで#1のようなことを考える人は…いないですよね?#1は非常にバカげた考えですね。立っている状態で足の力なんて抜けるわけないですから。身体が疲れた場合、その場で疲れている部位の力を抜くのではなく、椅子という【支え】がほしくなるのが当然。
疲れている部位は、椅子という【支え】を手に入れた後、力が抜けて楽になります。逆に言えば、椅子という【支え】が手に入らなければ、楽にはならず、疲れている部位の力は絶対に抜けません。これ、当然の話ですよね?
一旦、この例をまとめると、以下のようになります。
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<正しい考え方>
- 状態: 足が疲れている
- 原因: 立ちっぱなし(足に負担がかかっている)
- 解決策: 椅子という【支え】を見つける
- 結果: 足が楽になる
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<バカげた考え方>
- 状態: 足が疲れている
- 原因: 状況は関係ない(原因を探そうとしない)
- 解決策: とにかく疲れた部分を「脱力」!!
- 結果: 何も変わらない(or 疲れが悪化する)
本題: ピアノを弾いて手首/腕/肩が疲れた場合
でも、ピアノになると、なぜか上記の話が当然ではなくなる人が続出。ピアノを弾いていて手首/腕/肩が疲れたとき、「あっ、手首/腕/肩を「脱力」させなきゃ!周りの状況なんて関係ない、とにかくその力を抜こう!!」と、バカげた考えをする人が多いようです。。。
上記例のように、まず、何か適切な【支え】を手に入れなければ、楽にはならず、疲れている部位の力は絶対に抜けません。よって、「脱力」だけを意識するのはバカげています。
上記例では、疲れた足を楽にさせるため、椅子という【支え】を探しました。今回の場合、疲れた手首/腕/肩の【支え】は何になるのでしょうか?その答えは、人間の構造から考えてみるとすぐにわかります。
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<各部位の【支え】>
- 手首の【支え】: 前腕内の筋肉
- 前腕の【支え】: 上腕内の筋肉
- 上腕の【支え】: 肩の筋肉
- 肩の【支え】: 背中の筋肉
つまり、手首/腕/肩が疲れている場合、上記右側の【支え】をしっかりさせるため、それらの筋肉を利用することが大事です。逆に言えば、それらの筋肉が正しく利用されていなければ(それらの筋肉に適切な力が入っていなければ)、手首/腕/肩が疲れてしまう、ということ。あれ…?これって「脱力」という言葉と逆行してる!?
一旦、この話をまとめると、以下のようになります。
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<正しい考え方>
- 状態: 手首/腕/肩が疲れている
- 原因: 弾き方が悪い(手首/腕/肩に負担がかかっている)
- 解決策: 筋肉という【支え】を見つける
- 結果: 手首/腕/肩が楽になる
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<バカげた考え方>
- 状態: 手首/腕/肩が疲れている
- 原因: 状況は関係ない(原因を探そうとしない)
- 解決策: とにかく疲れた部分を「脱力」!!
- 結果: 何も変わらない(or 疲れが悪化する)
全体のまとめ
「脱力しなさい!」 = 「適切な【支え】を見つけなさい!」
上記例と本題からわかることは…「脱力しなさい!」という言葉の本当の意味は、概ね「適切な【支え】を自分で見つけなさい!」であると考えると良いでしょう。
先生や書籍・ブログ等の話は、「脱力しなさい!」という言葉足らずで無責任なアドバイスではなく、楽になるため(不必要な力を取り去るため)の「適切な【支え】は何か?」をキチンと丁寧に説明しているかどうかを考えながら聞く・読むと良いでしょう。
本記事では、プレ「脱力」ということで、内容を簡潔にしましたが…もっと適切なアドバイスは、「余計・余分な力」の発生理由内容に応じた対策方法を提示することでしょう。その例については、私の記事「【力み】の発生理由とその対策方法」をご覧いただければと思います。
では。
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