理系ピアノ奏者におすすめの書籍11: 楽譜を読むチカラ

公開日: 2017年1月5日木曜日 ピアノ 書籍

こんにちは、リトピです。

こちらは、理系である私がおすすめする書籍をご紹介するコーナーです。 今回ご紹介する11冊目はこちら。

この書籍は、特に以下のように考えている人にオススメ。騙されたと思って、まずは読んでみてください。

  • 「楽譜通りに弾かなきゃ!」という脅迫概念(?)に囚われているアナタ
  • 何が何でもメトロノームにキッチリ合わせないと気が済まないアナタ
  • とある曲をどんなに練習しても、なんだかしっくりこないと感じているアナタ
  • 自分の演奏はツマラナイ、けど何が原因かは分からないと考えているアナタ

この書籍は、【楽譜をどう読み解くべきか】【読み解いた内容をどう演奏するか】について論理的に考察したものになっています。そして、個人的には、次の2つの書籍『音楽家のための アレクサンダー・テクニーク入門』『ミスタッチを恐れるな』のエッセンスが詰め込まれているように感じました。

書籍に書かれていることはとても理解しやすいですが、内容はちょっと理系寄りです(脳関連・神経心理学関連の研究の話とか出てくるので)。私のようなバリバリ理系の人にとっては、とても取っつきやすい書籍でした。

簡単にこの書籍の内容を説明すると…

楽譜は「音符があるか、ない(休符)か」「記号があるか、ないか」という "1", "0"というデジタル情報です。そんな離散的なデータを、音楽という連続したアナログ情報(時間の流れ)にどのように変換するのか、というのが、我々演奏者の務めですが…

演奏者は、そのデジタル情報(楽譜)からアナログ情報(音楽)へは、どのように変換すべきか?という疑問に対する一つの答えが、この書籍には書かれています。まさに、上記のような人たちにオススメの書籍と言えるでしょう。

この書籍を読んで、特に目から鱗だったものはこちら。

楽譜に書かれているから、といってそれがすべてではない
上記で説明したように、楽譜は"1"か"0"のデジタル情報です。楽譜通りに演奏するかどうかよりも、その間をどう埋めるべきかを考えることが大事。例えば、強弱記号がpだからって、ずっとpで弾き続けて良いわけではなく、指定されたテンポが一定だからって、ずっと同じテンポで弾き続けて良いわけではありません(それらをして良いときは、極めて特殊な例だけ)。

演奏には【変化】が大事
人間は同じ大きさ・量の刺激を受け続けているとその刺激に慣れてしまい、その刺激に対する感覚がなくなってしまいます(これを順応と呼ぶ)。つまり、我々は、まったく変化のない状態が続くと、それを認識しなくなるのです。本書では、演奏で可変させる基本パラメータとして「リズム」「強弱」「アーティキュレーション」「テンポ」の4つを挙げ、それらをしくみに沿って論理的に【変化】させることが大事、と言っています。

表現力の強化は実験をすること
何が「正しい演奏」かは、自分で実験してみなければわかりません。あえて大げさにやってみたり、逆のことをしてみたり…そうやって何が「正しい演奏」かを見つけることが大事。本書の言葉を借りれば、
実験なくして、名人は生まれません。(p.140)
また、そのような新しいことをするには、
必ず生じる誤りや障害を甘受する覚悟も必要(p. 130)
身に沁みついたこれまでの習慣を捨て去る勇気も必要(p. 14)
だと、本書では述べています。この考え、アレクサンダー・テクニークに非常によく似ていますね。(p. 132の欄外でアレクサンダー・テクニークについて触れているので、著者もその考え方に精通しておられるのでしょう。)

学習はミスを通して行われる
本書によれば
意識的にミスするという実験をすることで多くの発見があります。実験とは概して失敗を伴うものです。ミスを避けるのではなく、ミスをすることから学習するやり方のとてもいい例があります。(P. 32)
と言っています。これは、書籍『ミスタッチを恐れるな』の内容に近いですね。

「脱力」「反復練習」「ゆっくり練習」はダメ
本書では、暗にそれらがダメということを述べています。例えば…
  • 「脱力」はダメ
    緊張や弛緩もなく筋肉がいつも緩んだ状態にあると、音楽もたるんできます。演奏が冗長だと感じられるときは、いつも筋肉が弛んでいるのです。(p. 131)
    いずれにしても変化しないでリラックスしたままでいるよりは、緊張の度合いを変化させる方が大切なのです。(p.190)
    演奏中に動くとエネルギーを消費するので、できるだけ動きは少ない方がいいと考えてしまいがちです。本当はまったく反対です。どのような動きであっても、その動きを抑制しようとすると、身体全体の筋肉を緊張させなくてはなりません。そしてこの緊張によって演奏そのものが抑制されてしまいますと、リラックスどころではなくなってしまうのです。動かないで演奏していますと、身体全体が緊張してしまって演奏に必要な緊張は得られません。(pp.190-191)
  • 「反復練習」はダメ
    旋律を学ぶにしても型通りに覚えてしまいますと、融通のきかないものになってしまって、後から表情をつけるために変化させようと思ってもとても苦労します。(p. 135)
    演奏全体を考えずにただ反復練習するのはそもそも無駄で有害でさえあります。何度も繰り返して演奏していますと「今」の状態が固定化されてしまいます。(中略)ただ反復しているだけでは、最初はうまくいってもしばらくすると学習曲線は下がっていきます。(p.202)
  • 「ゆっくり練習」はダメ
    難しい部分ならすべてゆっくりで練習できるわけではありません。ゆっくりとしたテンポでは何が問題かがわからないでしょう。(p.224注釈)

まだまだこの書籍から学んだことはたくさんあるので、ご紹介していきたいのですが、今回はこの辺で。

では。

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