番外編5: 「鍵盤は50gの重さで沈む」の真実
公開日: 2017年11月23日木曜日 ピアノ 持論 重力奏法
こんにちは、リトピです。
ピアノの奏法の一つとして挙げられている「重力奏法」(重量奏法とも呼ばれる)の説明の際、「鍵盤は50 gの重さで沈む」というお話をする事があります。このとき「…だから、弾くときも、腕を脱力させて、鍵盤に50 gの重さを載せて弾きましょう!」や「ピアノの音量を上げたければ、50 g以上の重さを鍵盤にかけましょう!」という話もすることが多いですよね。
今回の記事は、この「鍵盤は50 gの重さで沈む」という話について、物理的観点(高校物理レベル)から、この真実について考えてみたいと思います。物理的観点ということで、いくつか数式が飛び交いますが…なるべく無視しても理解できるように努めます。
「鍵盤は50 gの重さで沈む」けど…
初めに
今回、物理的観点(高校物理レベル)から「鍵盤は50 gの重さで沈む」について考えよう!と言っていますが、以下の部分を加えると、話がとってもややこしくなってしまうので、これらの点は割愛します。ご容赦ください。
- <今回の記事で考慮しない点>
- 鍵盤のアップウェイト
- 鍵盤の慣性モーメントや摩擦
- 打鍵時のトルク
- 鍵盤のみにかかっている力
- 質量中心
ここで大事なのは「重さ」ではない
ピアノのダウンウェイト(鍵盤に重りを載せて、鍵盤が下がり始めるときの重りの重さ)は約50 gと言われています(参考: うたまくらピアノ工房)。この「鍵盤は50 gの重さで沈む」という話をするとき、よく十円玉を使って、鍵盤が下がる現象を紹介することがあります(図1)。十円玉の重さは4.5 g(参考: 社会実情データ図録)なので、鍵盤に大体11~12枚の十円玉を載せると、鍵盤が沈み込みます。
図1. ピアノの鍵盤は、十円玉を11~12枚載せると沈み始める。 |
小学生までの思考
この現象を見て、「ピアノは50 gの重さを載せれば弾けるんだ」「自分で弾くときも、「脱力」して50 gの重さだけを載せて弾いてみよう」「これが重力奏法の弾き方だ」などと考えたくなりますが、このような指導をしていいのは、相手が小学生まで(図2)。
図2. 鍵盤に50 gの「重さ」を載せればピアノは弾ける…?(小学生までの思考) |
中学生の思考
もし、生徒が中学生であれば、この現象をもっと正確な表現で説明・理解することができます。みなさん、「グラム重」という単位を覚えていますでしょうか。「グラム重」とは、簡単に言えば「質量を持つ物体が、重力によって引っ張られている力。1 gの質量を持つ物体は、1グラム重の力で重力に引っ張られている。」というものです。恐らく、この単位は、中学物理で習っているのではないでしょうか。
この知識を総動員すると、上記図2は以下のように変化します(図3)。50 gの分銅は、重力によって50 [グラム重]の【力】で打鍵方向に引っ張られています。「鍵盤は50 gの重さで沈む」というのは、実際はこの【力】の作用によってピアノの鍵盤が沈む、となるわけです。
一方、「脱力」した腕が鍵盤を打鍵するときを考えると…体重50 kgの人間の片腕の重さは約3 kgなので(詳細は記事「なぜ「脱力」は敵なのか5: 身体は鍛えるな。感覚を鍛えろ。」を参照)、もし腕を「脱力」させると、腕全体は、重力によって3000 [グラム重]の【力】で打鍵方向に引っ張られます。
分銅と腕・手・指、では、両者にかかっている【力】が全く違っているため、「50 gの分銅を載せて鍵盤が沈む」という現象と、「人間の手でピアノを弾く」という現象はイコールにすることはできません。
図3. 鍵盤に50 [グラム重]の【力】をかければピアノは弾ける(中学生の思考)(注: 左は、あくまでもイメージ) |
小まとめ
さて、中学物理の知識を総動員することで、この「鍵盤は50 gの重さで沈む」という現象は、正確には「鍵盤は50 gの重りにかかっている【力】の作用によって沈む」ということがわかりました。
これを考えると、この「鍵盤は50 gの重さで沈む」という説明でよくありがちなピアノ奏法として「ピアノを弾くときは50 gだけ重さを載せれば十分」とか「50 gの重さで指を速く動かす」などという考え方はおかしい・見当違いだ、ということがわかります*(その人の腕の重さが50 gであれば、この話は正しいけど…)。
そして、ここまでの知識を活かすと、ピアノを弾くためには、少なくとも…
- × 鍵盤に50 gの「重さ」を載せる
- ○ 鍵盤に50 [グラム重]相当の【力】をかける
…ということがわかります。ただし、この話はここで終わるような単純なものではなく、中学物理ではまだ説明しきれない部分があります。もちろん、「もうここまでで、この話はお腹いっぱいだよ!」という人は、ここで当記事を読み終えても構いません。少なくとも、上記の○×を覚えていただければ、間違った思考でピアノを弾くこと(腕の「重さ」で弾く、など)は少なくなるでしょう。
もっと知りたい方は、一緒に以下に進みましょう。ここでの「単純ではない」ポイントは、「鍵盤は50 [グラム重]の力で沈む」ではなく「鍵盤は50 [グラム重]の力の【作用】で沈む」という文言です。この点について、以下で説明します。
打鍵中、鍵盤は【加速】し、移動している
さて、ここからが高校物理レベルのお話。いくつか長い数式が流れますが、それを無視しても理解できるように努めます。数式を追うのがイヤになったら、図や文字だけを見てください。
次に移る前に…以下の点については、考慮するとかなりややこしくなるため、まったく考慮せずに話を進めます。
- <今回の記事で考慮しない点>
- 鍵盤のアップウェイト
- 鍵盤の慣性モーメントや摩擦
- 打鍵時のトルク
- 鍵盤のみにかかっている力
- 質量中心
要は、鍵盤の動きを「回転運動」ではなく、「並進運動」と見なします(ここら辺の詳細は、記事「お悩み相談室11: ピアノが弾きにくい(鍵盤が重い)のですが…」を参照)。また、ここでは、鍵盤の質量をダウンウェイトと同じ「m = 50 g」と仮定します。
高校生以上の思考: 準備
ここでは、打鍵時に「鍵盤にかかる力」および「分銅・指先が受ける力」を考えてみましょう。この「指先が受ける力」が大きければ大きいほど、指のケガをしやすい、ということになります。
ここで「えっ、鍵盤にかかる力って、鍵盤に載せた重さそのものじゃないの?」とか「指先が受ける力って、腕の力を抜けばほぼゼロにできるんじゃないの?」と思ったアナタにこそ、これから先の内容を見ていただきたい。
まずは、50 gの分銅を鍵盤に載せたときを考えます(図4)。これは高校物理でよく出てくる「2物体の運動方程式」を解く問題の応用と思っていただければと思います。
図4. 鍵盤に M = 50 gの分銅を載せたときの「分銅を引っ張る重力: Mg」「鍵盤にかかる力: FWK」と「分銅・指先が受ける力: FKW」の概略図。 |
上記の図だと、ちょっとわかり難いですが…イメージとしては、図5の左の状態を、右のように縦にしたような感じで捉えてください。
図5. 左: 高校物理でよく出てくる「2物体の運動方程式」を解く問題。右: その応用。 |
なお…この2物体の運動に関する考え方は、他ブログ: 『高校物理発想法』発売中!:となりの物体にも同じ力が働く?をご参照ください。また、この解き方の例は、他ブログ: 文系にこそ読んでほしい高校物理のコツ: [第14回] 運動の基礎教えます! ~運動方程式の基礎~をご参照ください。
高校生以上の思考: 分銅の場合<鍵盤下降中>
では、まずは、鍵盤に50 gの分銅を置いたとき、鍵盤が下降しているときの状態を見てみましょう(図6)。式は、体裁を整えるのが面倒なので図に埋め込みました。式を追うのが嫌な人は、図下の赤字をお読みください。
図6. 50 gの分銅を鍵盤に載せたとき、かつ、鍵盤が下降中のときの運動について |
なるほど…実際は、分銅を鍵盤においても、このときは分銅の「重さ」を、下降中の鍵盤にはかけることはできないようですね。「えっ、分銅を鍵盤においてるのに、おかしくね?」と思われるかもしれませんが…これは、「分銅の「重さ」が載りきる前に、鍵盤が下がっている」と考えると納得できるのではないでしょうか。
高校生以上の思考: 分銅の場合<鍵盤が底を突いた後>
さて、次は、分銅を載せた鍵盤が底を突いた後を考えてみましょう(図7)。
図7. 50 gの分銅を鍵盤に載せたとき、かつ、鍵盤が底を突いたときの状態について |
このときは、鍵盤にどれだけの力を加えても沈み込まないため…このときにようやく分銅の「重さ」が鍵盤にかかっていることがわかります。なるほどー。。。
分銅を置いたときの運動はこんな感じです。これが、腕を置いたときにはどうなるかを考えてみましょう。
高校生以上の思考: 腕の場合<鍵盤下降中>
次は、鍵盤に腕(質量約3 kg)が「脱力」によって鍵盤に置かれた場合を考えてみましょう(図8)。
図8. 「脱力」した重たい腕を鍵盤に載せたとき、かつ、鍵盤が下降中のときの運動について |
これも、分銅と同じく、このときは「脱力」した腕の「重さ」を、下降中の鍵盤にかけることはできないようです。。。これを不思議だと思う人は、…例えば、「豆腐に自分の体重を載せられるか?」というのを考えてみてください。このとき、「豆腐に自分の体重を載せようとしても、載せきる前に豆腐が崩れる」というのが容易に想像できるでしょう。
これは…簡単に言えば、「力を入れたら動く物」には、そのものが動くときの力以上の力を加えることはできない、というわけです(うーん、ややこしい?)。だから、下降中の鍵盤には、鍵盤が下降するために必要な力以上の力を加えることは(この「脱力」という方法では)できない、というわけです。
高校生以上の思考: 腕の場合<鍵盤が底を突いた後>
では、最後に、腕を載せた鍵盤が底を突いた後を考えてみましょう(図9)。
図9. 「脱力」した重たいを鍵盤に載せたとき、かつ、鍵盤が底を突いたときの状態について |
考え方は分銅の時と一緒。このときは、鍵盤にどれだけの力を加えても沈み込まないため…このときにようやく「脱力」した腕の「重さ」が鍵盤にかかっていることがわかります。なるほどー。。。…って、このとき(鍵盤が底を突いた後)に「脱力」した腕の「重さ」が鍵盤にかかる意味ってあるの??
高校生以上の思考: 小まとめ~問題定義編~
前半で、「50 gの重り」と「腕」はイコールではないよ、というお話をしましたが、ここでもうちょっと詳しくすると…
打鍵時に「鍵盤にかかる力」および「分銅・指先が受ける力」は両者ではこんな違い(図10,11)があります。
図10. 鍵盤下降中に、指先が受ける力は、分銅の2倍 |
図11. 鍵盤が底を突いた後に、指先が受ける力は、分銅のなんと60倍!! |
この流れを横軸時間のグラフにするとこんな感じ(図12)。
図12. 打鍵時に、分銅・指先が受ける力。腕を最後まで「脱力」させていると、指先には大きな力が加わる。それが指のケガの原因に。。。 |
ちなみに、鍵盤が底を突いたときに指に受ける力 = 3000 [グラム重]の衝撃のイメージは以下のような感じ(図13)。一部の「脱力」信者や、間違った重力奏法を謳う人たちが「指先の力を鍛えろ!」と言っているのは、「この衝撃に耐える指先を作れ!」と言っているのと同じ。えっ、ピアニストってみんなそんなことできるの!?
図13. 腕を「脱力」させたまま、腕の「重さ」を鍵盤に載せているとき、指先が受ける力は、なんと子ども用ボーリング玉を指先で支えているのと同じ状態。そりゃ…ケガするわな。。。 |
それに、腕の「重さ」は、鍵盤や指先に載せられないってことは…どうやってピアノの音量を変えればいいの??
高校生以上の思考: 小まとめ~解決編~
まず最初に「指先の力を鍛えろ!」以外の方法でピアノを弾くためにはどうすればいいのでしょうか?
この答えは非常に簡単。打鍵の際、「脱力」なんてやめて、鍵盤が底を突く前に【腕を支える】ということをすればいいんです(図14上)。たったそれだけで、指先への負担が軽くなり、ケガのリスクがグッと減ります(図14下)。
実際、プロも鍵盤が底を突いた瞬間に、鍵盤にかかる力(= 指先が受ける力)を極限まで減らしています(参考: ピアニストのための脳と身体の教科書: 第10回 「力み」を正しく理解する (4)エコ・プレイ:力まずに弾くスキル(1))。この打鍵の仕方の詳細は、記事「番外編8: プロと初心者の「打鍵の仕方」の違い~簡易版~」をご覧ください。
たまに、この、「鍵盤にかかる力」を少なくすることを「脱力」と呼ぶ人がいますが…「鍵盤にかかる力」を少なくするためには、図14上のように、自分自身は【必要な力】を使って腕を支えなければならない。そのため、残念ながら、自分がやっていることは「脱力」という言葉の意味からは逆行しています。
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図14. (上) 指先への負担を減らすには、「脱力」をやめて、鍵盤が底を突く前に腕を支えればいい。(下) 腕を支えれば、指先が受ける力はグッと弱まるため、ケガのリスクが少なくなる(これはイメージ。実際は、鍵盤が戻ろとする力があるので、0にはならない) |
ちなみに、鍵盤が下降中の場合はというと…このときに指先が受ける力は、たったの「ポケットティッシュ5個分」と同じ(図15)。これに対して「指先の力を鍛えろ!」なんてナンセンスですよね。「ポケットティッシュ5個分」を指先で持ち上げられない人がいれば別ですが。。。
図15. 鍵盤下降中に指に受ける力は、ポケットティッシュ5個分とほぼ同じ! |
次に、腕の「重さ」を鍵盤や指先に載せずに、ピアノの音量を変える方法ですが…まず、「脱力」という考えをやめましょう。
図8の「脱力」をやめると、打鍵時に手や腕に加速度aaがつきます(この加速度が、自由落下時の "g" ではない点に注目)。すると、図16のように、腕の加速度と鍵盤の加速度がほぼ一緒になります。そうすると例えば、ピアノの音量を上げたいときは…
手や腕に大きな加速度を与える → 打鍵時に鍵盤の加速度も大きくなる → 飛び出すハンマーの速度が上がる → ピアノの音量が上がる
…と考えることができます。腕の加速度を変化させる方法は、重力を利用するのも良し(詳細は、記事「番外編4: 重力奏法を徹底解剖!」を参照)、肩の力を利用するのも良し(詳細は、記事「番外編4: 「脱力」で、高速和音打鍵は絶対に出来ない」を参照)です。
それらをまとめると、ピアノの音量をコントロールするには…
- <小さい音を出す場合>
- × 50 gの「重さ」を鍵盤に載せる
- ○ 小さな【加速度】を持って(小さな力で)鍵盤を押す
= 腕を支える力[大]、腕を落とす重力の利用量[小] - <大きい音を出す場合>
- × 50 g以上の「重さ」を鍵盤に載せる
- ○ 大きな【加速度】を持って(大きな力で)鍵盤を押す
= 腕を支える力[小]、腕を落とす重力の利用量[大]
図16. 実際の打鍵 |
まとめ
今回は、物理的観点(高校物理レベル)から、よく言われている「鍵盤は50 gの重さで沈む」の真実についてお話しました。まとめるとこんな感じです。
- ピアノを弾くには…
- × 鍵盤に50 gの「重さ」を載せる
(小学生までの生徒に対しての説明) - ○ 鍵盤に50 [グラム重]相当の【力】をかける
(中学生の生徒に対しての説明) - ◎ 鍵盤(もとい、手や腕)に【加速度】を与える
(高校生以上の生徒に対しての説明)
質量のある物体に【加速度】を与えるには、それ相応の「力」が必要ですから(運動方程式「F = ma」はそれを示している。つまり、質量mの物体に、力Fをかけると、加速度aで動き出す、というもの。)…やはり考えるべきは「脱力」ではなく【必要な力】の使い方だというのが、ここからもわかりますね。
ただ…今回はいろんなものを省略して説明したので、正直なところ、当記事の内容も残念ながら「真実」にはまだまだ遠いです。。。ただ、少なくとも、当記事は「鍵盤は50 gの重さで沈む」という言葉から生み出される間違った思考(鍵盤には50 gの重さを載せれば弾ける)を払拭する程度にはなっているかな、と思います。
ちょっとだけ補足。
- ピアノを弾くために必要なことは…
- × 腕の「重さ」に耐えられるように指を鍛えろ!
- ○ 「ポケットティッシュ5個分」の重さに耐えられる指があれば十分
→ 指なんて鍛える必要なし! - ○ 腕の「重さ」は関係ない(というか、最初から気にしなくて済むくらいの【質量】がある)
→ 鍵盤に十分な【加速度】を与えられる力の入れ方 = 「正しい弾き方」を学べ!
確かに、腕を「脱力」させ、その腕の重さに耐えられるように指を鍛えれば、ピアノは弾けるでしょう。でも、わざわざそんな「指を痛めるような弾き方」なんてしなくても、ピアノはもっと楽に弾けます。
初心者がピアノを弾けないのは、「脱力」できていないから・まだ指が鍛えられてないから…などではありません。単に「正しい弾き方」がわかっていないだけ。この点、特に指導者は気をつけましょう。なぜなら、アナタが生徒に指導すべきは「如何に「脱力」させるか?」ではなく【どうやって「正しい弾き方」を学ばせるか?】です。アナタ自身が「正しい弾き方」を知らないと(それを言葉や模範演奏などで説明できるようにしておかないと)、指導なんてできませんよ!!
残念ながら、どんなに「脱力」を意識して、たとえ今よりも力が抜けたとしても、その「弾き方」が悪いままだったら、ピアノは弾けるようになりませんから(詳細は、「特集3: まず、「木」ではなく【森】を見よう ~身体編~」を参照)。
P.S.
*) 「鍵盤は50 gの重さで沈む」について
ちなみに…もし、自分の手を使って「鍵盤は50 gの重さで沈む」にまつわる【科学的検証】をしたければ(例: 50 gの重さで指を速く動かす、など)、少なくとも腕全体の「重さ」を50 gまで減らさなければなりません。
もちろん、腕の「重さ」はそう簡単に(もとい、絶対に?)50 gにはならないので…「50 gの重さで指を速く動かす」という言葉は、科学的に考えれば考えるほど意味不明である。。。うーん…【科学的検証】っていったい。。。
(補足1: ところで、骨の「重さ」は、体重の約1/5だそう(参考: ティーエフケイ株式会社, ヒトの身体)。ということは、地球上にいる体重50 kgの人の片腕の「重さ」が3 kgの場合、腕の骨の「重さ」は約600 gか…骨だけになっても、腕の「重さ」は50 gには全然ならないなぁ。さらに、その状態で、月(地球の1/6の重力)に行ったとしても、腕の骨の「重さ」は約100 g。。。うーん、「50 gの重さで指を速く動かす」という【科学的検証】は、いったい、どんな状況・どんな場所で行われたのだろうか…)
仮に、その本当の意味が【50 [グラム重]の力で指を速く動かす】だったとしても、その意味の不明さはあまり変わりません。なぜなら、物体を速く動かすためには、より大きな力(正確には力積)が必要なので。。。
(補足2: 科学的に考えれば…力積(= 力 x 時間)を大きくすると、運動量の変化が大きくなる = 速度が上がる(変化するのは速度であって、質量ではない)。そのため、打鍵という短い時間の中で物体(腕・指先・鍵盤)の速度を上げたければ、力を増やすしかない。だから大事なのは、「脱力」ではなく【必要な力】の使い方を考えること。参考: 運動量と力積)
みなさんは、「脱力」をこじらせて「科学」と【妄想】の区別がつかなくならないよう、十分お気を付けくださいませ。
では。
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