本当は怖い重力奏法6: まとめ ~なぜ「脱力/重力奏法」でうまく弾ける人がいるのか~
こんにちは、リトピです。
ここでは、「本当は怖い重力奏法」の総まとめと、それでもなぜ、その奏法でうまく弾ける人がいるのかを考察してみたいと思います。
「本当は怖い重力奏法」総まとめ
- 1. もっともらしく見える/感じるワケ
- 拳で弾いたときの感覚は、重力奏法をもっともらしく見える/感じることができるものなのですが、実際の指でのピアノ演奏には全く関係ない
- 2. 腕の自由落下を利用した打鍵は危険!
- 打鍵方向は鍵盤に垂直な方向にするため、適切な筋力を用いることが必要
- 3. 「脱力」したまま音量はコントロ―ルはできるのか1
- 自由落下による打鍵は×。ピアノの音量を決めるのは打鍵スピードでもない。
- 4. 「脱力」したまま音量はコントロ―ルはできるのか2
- 重力奏法では、ピアノの音量はただただデカいだけ
- 5. ピアノの音量を決める本当の要素
- 「鍵盤にかける力」や「鍵盤に力をかけ続ける時間」を自在に変化させることで、ピアノの音量を思い通りにコントロールできる
なぜ「脱力/重力奏法」でうまく弾ける人がいるのか
「脱力」信者や重力奏法と謳う人たちは、なぜうまく弾けている (ように感じていてる)のでしょうか。彼らの正しい共通認識、行き過ぎた妄想から、ちょっと考察してみましょう。
- 彼らの正しい共通認識
- 打鍵後は鍵盤を押し込んでも意味がない
- ピアノの音量はハンマーの速度で決まる
- 楽にピアノが弾けるようになることは良いことだ
- 「脱力」信者の妄想
- 腕を「脱力」すれば、打鍵後、鍵盤に力がかからない
→ 地球上には重力がある、ということを忘れていますよ。(打鍵方向の力: F = mg) - 手首や腕周りの余分な力を「脱力」すれば、良い音が出る
- そして余分な力が抜けてないのは、まだ「脱力」が足りないから
→ いっそのこと、筋肉捨てちゃえば? - 重力奏法を謳う人たちの妄想
- 重力に身を任せて打鍵すれば、うまく「脱力」でき、打鍵後、鍵盤に力がかからなくなる
→ あなたの腕には質量がある、ということを忘れていますよ。(打鍵方向の力: F = mg) - 拳で弾いたときの感覚を指にも応用することで、良い音が出せる
- そして、その拳の感覚を指でも同じように感じられないのは、指が鍛えられてないから
→ そしたら、鋼鉄製のグローブでもはめてピアノ弾きます?
彼らはうまく弾けている (ように感じていてる)のは、以下の2つの理由であると考察します。
1. 実は、彼らは言葉通りに実行していない
意識の上ではそれらを実行している(ように錯覚しているだけ)かもしれないですが、 実際は、「脱力」や重力奏法を利用せず、ちゃんと理にかなった動作をしているだけで、 その動作をうまく言葉にできてないだけかも。 実際、彼らの中にも素晴らしい演奏をされる方もいるわけですから、我々はその間違った言葉に簡単に惑わされちゃうわけです。 いやぁ、まったく迷惑な話ですね。頼むから正しく伝わる言葉を探していただきたい。
2. 言葉通りに実行はしているが、まだ指を負傷していない
こちらは、彼らの言っていることを心から正しいと信じ続け「脱力」や重力奏法に頼った演奏を続けている方々です。 やはり、身をもって間違っていることが証明されない限り、うまくいくと思ってこれらの奏法は続けてしまいますよね。 かつての私もこの部類でした。もしかしたら、指を負傷してきていることに気付けていない可能性もありますので 早めに考えを切り替え、重大なケガをする前に、これらの奏法をやめましょう。
では。
あなたは重力奏法を誤解していますね。重力奏法はロシアピアニズムの奏法ですが、ショパンコンクールの上位入賞者のほとんどがロシアピアニズムを学んでいます。そしてあなたはこの重力奏法を誤解しています。
返信削除コメントありがとうございます。
返信削除何をどうもって「誤解している」と思われたかはわかり兼ねますが、残念ながら(?)重力奏法を【物理的に】考えると当記事のような解釈しかできません(し、実際にそういう科学的な研究も行われました)。
> ショパンコンクールの上位入賞者のほとんどがロシアピアニズムを学んでいます。
えぇ、ですが一方で、彼らのほとんどは基礎物理すらまともに学んでいません。だから彼らの言う重力奏法の(物理的な)解釈は「誤解している」と考える方が妥当だと思われますが……