導入2: 自力で腰痛を治したお話~実践編~
公開日: 2015年12月10日木曜日 アレクサンダー・テクニーク 持論
こんにちは、リトピです。
今回は、前回の記事「導入1: 自力で腰痛を治したお話」の続きである実践編です。腰痛もちだった私が「アレクサンダー・テクニーク」(以下A・T)を用いてお金をかけずに自力で治したお話の完結編でもあります。
A・T流、腰痛の治し方: 実践
前回の記事「導入1: 自力で腰痛を治したお話」で話した、私が腰痛を自力で治した流れは以下の通り(再掲)です。
- 鏡で現状確認: 腰を酷使している身体の形を把握する
- 立っているとき、腰を酷使する形になろうとする瞬間を感じる
- 最初に頭が後ろに傾いてから腰を酷使する形になることがわかる
- まず頭が後ろに傾こうとする意識を止める
- 【人間の構造的に】正しい姿勢の位置を意識する
- 頭・首・背中を意識しながら#5の形に移動させる
1. 鏡で現状確認: 腰を酷使している身体の形を把握する
まず、現状把握です。なぜ「【私自身が】腰を酷使させているのか」を把握します。私の場合は、立っているとき、一般的に正しい姿勢と言われている「胸を張って背筋をピンと伸ばす」姿勢が習慣になっていて、これが腰に負担をかけている、ということがわかりました。
実は、その姿勢の説明は、残念ながら【人間の構造的に】正しい姿勢ではありません。そこに気付くのが最初の難関でした。。。
2. 立っているとき、腰を酷使する形になろうとする瞬間を感じる
では、その(悪い)習慣を止めるにはどうするか。まず、その(悪い)習慣がいつ、どのタイミングで起こるのかを知る必要があります。ただ…このA・Tを用いた腰痛改善法のプロセスの中で、これが自力で行うときに一番難しいポイントだと思います。
#1で、自分の(悪い)習慣に気付いたときというのは、すでに習慣が行われている状態です。つまり、「あっ、これが自分の習慣か。」と気付いた時では「いつ、どのタイミングで起こるのかを」知るにはもう遅い。習慣なんて、長い年月をかけて自分の身体に染みついた【いつの間にか】やってしまう行動ですから、そう簡単に「いつ、どのタイミングで起こるのか」を知るなんてできません。
この【いつの間にか】のタイミングに気付けるかどうかが、自力で腰痛を改善する最難関のポイントです。難しいですがコツはありますので下に進んでいきましょう。
3. 最初に頭が後ろに傾いてから腰を酷使する形になることがわかる
人間に限らず、すべての動物は「ヘッド・リード」で身体が動いています。これは、動作を始めるとき、頭から動いて、首・背中(脊髄)…という順番で身体が動いていく、というものです。なので、【いつの間にか】のタイミングを感じるときは、頭・首・背中に意識を向けると良いでしょう。(ここで注意したいのは、「頭から動かせ」と言っているわけではないこと。そういう意識を持って、ということです。)
すると、私の場合、腰に負担をかける形になるちょっと前に、まず頭が後ろに傾くことがわかりました。ここまでわかれば、峠を越えたようなもんです…がまだまだ難しい事項は続きます。
4. まず頭が後ろに傾こうとする意識を止める
ここがA・Tの最大の肝だと私は思っています。私自身が(悪い)習慣を引き起こす原因となっている「最初に頭が後ろに傾いて」しまう【意識】を止めます。止めるの動作そのものではなく、その【意識】です。これはどういうことか。神経心理学の書籍『タッチ』によると(文中の太字は私リトピによるもの)…
随意運動の開始そのものは無意識のうちに行われ、運動の随意的コントロールというのは、随意運動を開始することではなく運動の選択やコントロールを行うことである。つまり、無意識に始まった運動のための神経過程をそのまま遂行したり、中止させたりすることであるつまり、無意識に浮かんでくる行動の意識(これが(悪い)習慣を引き起こす)を、自らの意志で【遂行】(遂行すると(悪い)習慣が始まる)ではなく、【中止】を選択するべし、ということ。これで、(悪い)習慣が始まる瞬間を止めることができます。(ちなみに、随意運動とは、「自己の意思あるいは意図に基づく運動」のこと(wiki調べ))
5. 【人間の構造的に】正しい姿勢の位置を意識する
さて、#4で(悪い)習慣が止められたことで、身体を【人間の構造的に】正しい姿勢に持って行けそうですが、そうするのはまだ早い。ここで焦ってはいけません。上記の書籍で言われているように、我々が身体(の随意運動)をコントロール出来る部分があるとすれば「無意識に始まった運動のための神経過程」を【遂行】するか【中止】するかの2択のみです。これは何を意味するのでしょうか。
これは、「自分自身の身体(動作)自体は、自分の意志でコントロールできない」と同義、だと私は解釈しています。そのため、無意識に浮かんでくる行動の意識自体が変わらないと、どんなに頑張っても、身体を【人間の構造的に】正しい姿勢に持っていくことはできません。
そのため、やるべきことは【人間の構造的に】正しい姿勢の位置を【意識】すること。正しい位置はどの方向か、を意識するだけ。そう、たったそれだけ。ただ、この意識にはポジティブ思考が入っていなければいけません。体は心と密接に関係しているため、ポジティブ思考がなければ、無意識に浮かんでくる行動の意識が良いものになりません。
ここがストレスと腰痛に何らかの関係がある理由、だと私は考えていますが、ただ単にストレスを発散したからといって腰痛は治らないです。腰痛の原因は心だけではなく、身体にもあるわけですから。
6. 頭・首・背中を意識しながら#6の形に移動させる
最後に【人間の構造的に】正しい姿勢への移動です。ここでも注意するのが「ヘッド・リード」である頭・首・背中。ただ、ここは意識するだけです。絶対に「自分で動かしてやろう」と思ってはいけません。このとき、やらなければならないことは2つ。
- 無意識に浮かんでくる((悪い)習慣を引き起こす)行動の意識を【中止】させる
- 【人間の構造的に】正しい姿勢の位置をポジティブ思考で【意識】する
これらを意識し続けることで、身体が【人間の構造的に】正しい姿勢へ移動し、腰に負担がかからなくなる姿勢が保てるため、それが習慣化すれば、結果として腰痛が治ります。注意したいのは、腰痛を治したいという結果をすぐにでも得たいがために#5で焦って身体をコントロールさせようとしてはいけません。大事なのはその過程です。
自力で腰痛を治したお話のまとめ
上記を簡単にまとめると…
- 【人間の構造的に】正しい姿勢を知っておく必要がある
- 「何もしない」という行動も自ら選択できると思うこと
- 決して自分自身の身体をコントロールさせようとは思わないこと
- 常にポジティブな思考で物事を意識すること
このように、A・Tの知識があれば、身体の(動作に関する)あらゆる問題を解決する能力が身に付くといっても過言ではありません!そんなすばらしいA・Tの知識を身につけてみたいと思いませんか?実は、今まで日本では知名度の低かったA・Tも最近少しずつ広まっていて、A・Tの講師というのも日本に何人かいらっしゃいます。興味があればA・Tの講師に習いに行ってもよいのですが…
独学でも出来る「アレクサンダー・テクニーク」
ここで、A・Tの講師の反感を買うかもしれませんが…せっかくなので独学でA・Tの知識を身につけてみましょう。A・Tの創始者であるF.M.アレクサンダー(詳細: 日本アレクサンダー・テクニーク協会)は、彼自身がこのA・Tという概念を作ったわけですから、様々な分野を勉強し、根気よく続けいてけば、独学・自力で会得することは絶対に出来るはずです。
というわけで、このコーナーでは、次回から、自力でA・Tを学ぶ方法をお話ししていこうと思います。
では
P.S.
ところで、上記の6つの方法は、「頭・首・背中」に注意を促す「プライマリー・コントロール」(以下P・C)というA・T的考え方と、書籍『音楽家のためのアレクサンダー・テクニーク入門』に載っているA・Tの以下の考え方に則っています。
概念形成 → 抑制 → 方向性 → 行為さきほどの、腰痛改善法の実践に当てはめてみると…
- 「形成概念」1
- 「形成概念」2
- (悪い)習慣を引き起こすP・Cを把握
- 「抑制」
- 上向き思考の「方向性」
- 「行為」 / 新しいP・C、習慣の形成
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