ピアノ・コラム1: 指は「独立」ではなく「調和」させるべし
こんにちは、リトピです。
このピアノ・コラムでは、ピアノに関する雑多なことを書いていきます。今回は、記事「お悩み相談室4: 指を独立させたいのですが...」で私が主張した以下の点についてわかりやすくしてみます。
人間の指一本一本があんなにも繊細な動きができるのは、指が独立なんかしているのではなく、互いの指が調和しているほかありません。そして、調和にはこんな意味がある、ということを頭に入れながら今回の記事をご覧ください。
[名](スル)全体がほどよくつりあって、矛盾や衝突などがなく、まとまっていること。また、そのつりあい。「―を保つ」「周囲と―のとれた建造物」「精神と肉体が―する」
出典:デジタル大辞泉
つられて他の指が動いてしまう理由
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図1: 一般的な男性の右手 |
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図2: 一般的な男性の右手。薬指を曲げたとき |
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図3: 指を動かす筋肉群 (再掲)(詳細はコチラ) |
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図4: 指の神経支配域 (再掲)(詳細はコチラ) |
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図5: 薬指だけを曲げたとき |
薬指だけ曲げられる理由
では、指の「独立」の概念を、「この指を曲げろ!」という一つの指令だけで図5ように指定した一本の指 (親指以外)だけを曲げることができる、と簡単かつ単純な内容で定義してみましょう。つまり、「薬指を曲げろ!」という一つの指令だけで図5のように曲げられる人 = 指の「独立」が出来る人、と考えてみます。
皆さんは、親指だけは特別で、他の指から「独立」して自由に動かせることを体感・実行しています。ということは…指の「独立」ができている人の他の指は、親指と同じように動かせる、つまり、指一本一本に専用の筋肉がついていて、それぞれに神経が割り当てられていることになります。えぇ、新しい人種の誕生ですね。。。皆さんは、そんな生物になりたいがためにピアノを練習されているんでしょうか?何度も言いますが、そもそも人間の指を動かす筋肉と神経は (親指の筋肉群を除いて)指一本一本に振り分けられていません。
ところで、図5のように薬指だけ曲げられる人、よーく考えてください。アナタは「薬指だけを曲げる」という指令だけを出しているわけではない。そのことを、アナタ自身がよく知っているはずです。
薬指だけ曲げられる人は、このような指令を指に送っているはずです。
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図6: 薬指だけを曲げるときの意識の方向。 緑色の矢印: その指を伸ばそうとする力、青色の矢印: その指を曲げようとする力。 力の方向・大きさはイメージ。 |
この言葉の違いは、練習の方向性までも変えてしまいます。指の「独立」を目指す人は、全部の指を均一化しようと、弱い指 (主に薬指と小指)を無意味に鍛えるでしょう(詳細は、記事「お悩み相談室1: 薬指、小指が弱くて弾きにくいのですが…」を参照)。これでは、いつか指を壊してしまいますよ。。。指の「調和」、つまり図6のような指全体のコントロールを目指すべく、身体・筋肉の「コーディネート」を使ってピアノ練習に励みませんか?
では。
P.S. (追記: 2015/11/06)
そもそも人間の指を動かす筋肉と神経は (親指を除いて)指一本一本に振り分けられていません。といいましたが、厳密に言えば、人差し指と小指を伸ばす筋肉も個別にあります。
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