ピアノ・コラム3: 「手の形は卵を包むように」の真実

公開日: 2015年11月30日月曜日 ピアノ 持論

こんにちは、リトピです。

このピアノ・コラムでは、ピアノに関する雑多なことを書いていきます。今回は、ピアノを弾く際の手の形です。

「手の形は卵を包むように」とは

これはピアノを弾く手の形としてよく言われることですよね。でも、その理由を知っている方、いらっしゃいますか? 「よくわからないけど…ピアノを弾く手の形の基本だから大事!」と言われればそれまでなんですが、 その本質的な理由もわからないまま、理解しようとしないまま利用する、というのは本当に意味のある事なのでしょうか。

正しい「形」の「暗記」ではなく「理解」を

ピアノの練習では、上記のように、とにかく正しい「形」に当てはめさせることが多いです。しかし、人間の骨格や筋肉の大きさなどは人それぞれ。しかも身体は日に日に変わっています。それなのに、正しい「形」だけにこだわる必要性は、どこにあるのでしょう。

例えば、数学の公式。ただ単に「暗記」してるだけでは、何の役にも立ちません。(テストを乗り切るだけなら別?)いや、そもそも、数学の公式における「暗記」はまったく意味がないのです。とりあえず当てはめればどんな問題も解ける、というのは、数学の公式の知識が増えただけで、数学そのものの問題解決能力の向上にはつながっていません。

大事なのは「理解」です。数学の公式も、なぜ・どうやってこの公式ができたのかを「理解」することで、正しく利用することができます。しかもすごいのは、公式の「形」を忘れてしまっても、このなぜ・どうやってこの公式ができたのか「理解」していれば、自ら導き出すこともできます。

話が少々それましたが、大事なのは、正しい「形」を「暗記」するのではなく「理解」すること、ではないでしょうか。(これが、「解剖学」と「アレクサンダー・テクニーク」の違い、のような気がします。)

「手の形は卵を包むように」の「理由」

この「手の形は卵を包むように」というのは、記事「お悩み相談室4: 指を独立させたいのですが...」でお話しした、手の3つのアーチを有効活用させるためです。アーチを形成することで、その形の周りで互いに支えあう力が働き、安定して打鍵できるようになります。

この事実さえ知っていれば、わざわざ「手の形は卵を包むように」しなくても、あの3つのアーチを有効活用できるはずです。この卵型というのは、ある意味、アーチを形作る一つの恰好ではありますが、それがすべてではありません。

ただし、アーチにも強度の限界があるので、指だけでは腕の重さを支えられない、ということをお気を付けください。(詳細は、記事「本当は怖い重力奏法1: もっともらしく見える/感じるワケ」を参照)

気を付けるべきことは、「形」にとらわれないこと

ある「形」(例えば「手の形は卵を包むように」)に限定して指導されると、その「形」にこだわってしまい、「何が何でもそういう「形」にしなきゃ!」という意識が優先してしまうことが多いように感じます。

そうなると、本来は「ピアノがもっと楽に弾けるようにしたい」という欲求・意識だったはずなのに、その目的すら変わり、その「形」を形成することに固執してしまい、最終的には身体がこわばってしまう、という可能性が高くなります。

これって、指導された側は本当にかわいそう。なぜなら、受けた指導に対して真面目に受け取って熱心に練習すればするほど「ピアノが楽に弾ける」というところから遠ざかってしまうわけですから。。。

こういった、本質・理由を飛ばして「暗記」だけさせる指導も、残念ながらピアノ界である程度浸透してしまったようです。記事「特集: ピアノ界における「脱力」のまとめ」で紹介したように、「自分の身は自分で守る」ためにも、ある「形」にとらわれず、その「形」の本質・理由を「理解」し、自身のピアノ演奏に役立ててください。

では。

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