本当は怖い重力奏法2: 腕の自由落下による打鍵は危険!

公開日: 2015年10月8日木曜日 ピアノ 持論

こんにちは、リトピです

前回の記事「もっともらしく見える/感じるワケ」では、拳を使った打鍵の感覚は、実際の指での打鍵には全く関係ない、ということをお話ししました。 それに気付けないまま、重力奏法を用いてピアノの練習をするのは大変危険です! 今回は、その危険性についてお話しします。

腕の自由落下を利用した打鍵は危険!

腕を前に上げ、打鍵の準備するような体勢から、一気に腕の力を抜き (いわゆる「脱力」)、腕を自由落下させてみてください。 腕全体は図1の赤い破線のような軌道を描き、「きをつけ」の姿勢になります。

図1: 腕を自由落下させたときの各部位の軌道。
オレンジの破線は肩からひじ、緑の破線はひじから手首の動作。
自由落下ではその2つが合わさるので、手首は赤い破線にそって落下する。

当然、打鍵方向は鍵盤に垂直な方向ではありませんね。これだと、狙った鍵盤に打鍵するのが難しい。 でも、それだけじゃないんです。もっと重要なことがあるんです。今度は図2を見てください。

図2: 自由落下による打鍵。
作用・反作用の法則より、打鍵時のFとは逆向きの力 (オレンジの矢印方向)が指先にかかる。

打鍵時は、作用・反作用の法則により、打鍵時のFと同じだけの力が、まず指先にかかります。 しかし、この力の方向は、指や身体全体で受け止められる力の方向ではないので、 その作用・反作用の法則による力がすべて指先だけで受け止めることになります。 こんなの続けてたら指先にダメージが蓄積して、最終的にはボロボロになってしまいますよね。 そう、「脱力」による腕の自由落下を利用した打鍵はとっても危険なんです!

やはり、必要なところには力を入れることが大事

打鍵方向を鍵盤に垂直な方向にするには、少なくとも上腕の回転を抑える必要があります。 その筋肉は、図3に書かれている三頭筋前部です。力を入れないとオレンジの破線に沿って上腕は動作するので、 その三頭筋前部を適度に収縮させるだけで、打鍵方向を鍵盤に垂直な方向にすることができます。

図3: 三頭筋前部を駆使し、上腕の回転を抑え、打鍵方向を鍵盤に垂直な方向にする方法

これで、危険な「自由落下を利用した打鍵」から少し解放されましたかね。

ところで、重力奏法を駆使した場合、ピアノの音量はどのように変化させているのでしょうか。 ピアノの音量を決めるのは、打鍵スピード...でしたっけ? 重力奏法や「脱力」奏法では下向きの力を一切使わないので腕の落とす高さで打鍵スピードを調整??

その点については次回の記事「「脱力」したまま音量のコントロ―ルはできるのか1」で。

では。

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